中学生のCくん

*以下の事例はいくつかの実例を組み合わせた架空の事例です。

相談概要

児童養護施設に入所しているCくんがいつもイライラしている、学校に行かない、虚ろな目をして元気がない、といった様子を心配した施設の担当の先生が相談に訪れました。サポチル(認定NPO法人子どもの心理療法支援会)の「児童福祉領域のアセスメントサービス」という、相談料金を援助してもらえる仕組みを利用して、相談が始まりました。

心理療法経過

施設の担当の先生は、Cくんのことを真剣に考えているにも関わらず、Cくんからは無視され、信用されてもらえない気持ちを抱き、Cくんにどう接したらよいか悩んでいました。セラピストは担当の先生から数回話を聞いた後、Cくんを相談室に連れて来てもらいました。施設の外部にある場所の方が、Cくんの生活を脅かすことなく、Cくんが混乱を強めることなく安心して話ができると考えたからでした。数回のアセスメント面接では、Cくんは大半の時間黙って過ごしましたが、時に、短い言葉を添えてイラストを描いたり、セラピストの質問に答える形で施設での生活に対する思いを少し話したりしました。そうした中で、Cくん自身が自分に自信がなく、人から大事にされるべき存在ではないと認識していること、大人に頼りたい気持ちはどこかにありそうでも、実際にどうしたらよいかを考えられないでいることがわかってきました。心理療法は数年かかりましたが、C君は大人に対する信頼感を次第に持てるようになっていきました。